【医療】高血圧の方の食生活の改善策

高血圧の食事療法では、減塩によるナトリウムの制限が重要かつ多くの人にしられているかと思います。

しかし、それだけではなく様々な要因がありますので、現在の自分の食生活を見つめ直し、何が問題なのかを明らかにして、その改善をすることが食事療法になります。

高血圧については下記の記事をご参照ください。

食事のポイント

食塩を制限する

塩分(ナトリウム)を過剰摂取すると血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分が増えるため、結果的に、体内を循環する血液量を増やします。

このため、末梢血管の壁にかかる抵抗が高くなり、血圧を上げてしまうと考えられています。

食塩の摂り過ぎで血圧が高い状態が続くと、血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化や心臓肥大が進みます。

その結果、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全など、多くの循環器病が起こることになります。高血圧は循環器病の最大の危険因子です。

食塩は調味料からだけでなく食物の中からも、体の中に取り込まれます。

高血圧の予防には食塩を1日に男性9gと未満、女性7.5g未満を目標とし、すでに高血圧の場合は6g未満を目安にします。

夏に塩分摂取を増やすことは,通常は必要ありませんが,汗を大量にかいた場合は例外となります。

熱中症予防のスポーツドリンクも、汗あまりかいていない状態で飲む際には薄めて飲むようにしましょう。

肥満にならないようにする

肥満の人は体が大きいので、さらに強く押し出さねばならないため血圧が高くなるといわれていました。

しかし、体重が重くなるほど血圧が高くなるというわけではありません。

体重より、血圧を上げたり動脈硬化を起こす物質を作っている内蔵脂肪が増えると、血圧が高くなります。

肥満者には高血圧者が多く、減量により血圧は低下します。

肥満で血圧が高い人は、減塩より、まず減量を行う方が効果的です。

過度な糖質を取らないような食事内容にしてみましょう。

たんぱく質を多く摂る

たんぱく質は血管を補強し、ナトリウムの排泄を促進します。

魚、卵、肉(脂肪の少ない部位)などの動物性たんぱく質食品と、大豆、大豆製品の植物性たんぱく質食品をバランスよく積極的に摂取しましょう。

タンパク質不足は高血圧の進行を助長させてしまいます

成人の場合、男性では70g、女性では60gのタンパク質が必要と言われています。 

食事だけでまかなうのは大変な為、必要時はプロテインなども手段の一つです。

良い油を摂るようにする

植物油や魚油は善玉コレステロールを増やし血栓を防ぎ、血圧を下げる作用があります。

しかし、いずれの油も新鮮なものを使用する必要がありますので、その点への注意も必要です。

これらの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む植物油を十分に摂取すると、血圧が低下するといわれています。

大豆油や紅花油、コーン油などに含まれるリノール酸、えごま油やクルミなどに含まれるリノレン酸、青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)などが代表的な多価不飽和脂肪酸です。

また、オリーブオイルやキャノーラ油(菜種油)には一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が多く含まれており、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを減らすという報告があります。

逆に、血圧や悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪の値が高い人、内臓脂肪が多い人には、「飽和脂肪酸を摂取し過ぎない」ことと「食べ過ぎを防ぐ」ことが勧められます。

飽和脂肪酸は、牛や豚の赤身肉、鶏肉の皮の部分、乳製品など、動物性の脂に多く含まれるので注意しましょう。

カルシウム、カリウムを積極的に摂る

カルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンやプロビタミンDが分泌され、これが心臓や血管を収縮させて血圧が上昇します。

高血圧になりやすい人には、カルシウムの吸収や調節の機能がよくない人も多いので、カルシウム不足にならないように心がけることが大切です。

カルシウムの吸収率が高いのは牛乳や小魚類です。日本人の食生活では、カルシウムが不足しがちなので、意識的にきちんととることが大切です。

カリウムには、腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。マグネシウムは、その働きを助けます。

カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類などに多く含まれています。中でも野菜類や海藻類はカロリーが低く、メタボリックシンドロームの人にもいいので、しっかり食べることが大切です。カリウムは水に溶けやすいので、これらを生で食べることをおすすめします。

塩分の排泄を助ける成分に、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがあります。

ただし、血糖値が高い人は果糖の多い果物は控えめに。また腎臓病の場合には、カリウムのとりすぎで悪化することもあるので、医師に相談してください。

また、マグネシウムは、カリウムとカルシウムの働きを助ける作用があります。ナッツ類や豆類なども一緒にとりましょう。

食物繊維をとりましょう

食物繊維は消化酵素で消化されない食物中の成分です。胃から腸を通過していくときに、余分なものを吸着して掃除する働きがあります。

食物繊維は便秘を予防し、排便をうながしてくれます。

また、腸内で胆汁酸を吸着します。胆汁酸はコレステロールから合成される消化液で、余分なものは小腸で吸収されて胆のうに戻り、再び十二指腸に分泌されるサイクルを持っています。食物繊維が胆汁酸を吸着すると、新しい胆汁酸をつくるために肝臓に貯えられたコレステロールが使われるので、結果的に血液中のコレステロールが減少します。

こうした食物繊維の働きは、高血圧、高脂血症、糖尿病の食事療法にも効果があります。また、食物繊維を多く含む食品はカロリーが少ないため、肥満の防止に役立ちます。

サツマイモやゴボウなどの根菜、青菜類などを多く食べてください。

野菜・果物を積極的に食べる

野菜や果物にはビタミンや、カルシウム、カリウム、マグネシウムといったミネラルが豊富に含まれています。

これら栄養成分は高血圧の予防・改善に役立つといわれており、このうち上述のカリウムには塩分を体外に排出する働きがあります。

そんな野菜類は、一日に350g以上は摂取した方がいいと言われます。

果物では、カリウムを多く含むバナナやリンゴ、キウィなどがお勧めです。ただし、バナナは糖分も多いので、食べ過ぎには注意。1日1本を目安に食べるといいでしょう。

果物は果糖が含まれますので、食べ過ぎには注意が必要です。

飲酒は上手く付き合う

週1日以上は休肝日も設けましょう。

長期間の大量飲酒は心臓の肥大や機能低下をもたらし、心筋症や心不全の原因となります。

アルコールはまた、不整脈のリスクを高め、大量飲酒者や大量飲酒後に起こりやすいことが知られています。さらに、脳出血やくも膜下出血のリスクとなり、その危険性は飲酒量が多いほど大きくなります。

しかし、アルコールの循環器病への影響は悪いことばかりではありません。心筋梗塞や閉塞性動脈硬化症は、飲む人が飲まない人より少ないことが知られています。

脳梗塞については、少量ないし中等量を飲酒により予防に働きますが、大量ではリスクとなります。

好影響の理由としては、HDLコレステロールを増やすことや、血液が固まりにくくなること、他の栄養素より血糖を上げにくいことなどがあげられます。血圧が24時間でみるとそれほど上がらないことや、赤ワインに多いポリフェノールなども関係しています。

日本高血圧学会などの高血圧のガイドラインは、飲酒については男性でエタノールにして1日30ml程度まで、女性ではその半分くらいまでの量に制限することを勧めています。

エタノール30mlは日本酒1合、ビール1本、ワイン2杯にほぼ相当します。大量飲酒は望ましくありませんが、少量の飲酒はアルコールによる疾患など特殊な場合を除いては問題なく、ほどほどにしてください

食事、栄養はバランスよくとよく言います。

それは、メリット・デメリットがあるからです。

まずは自分の食生活の見直しを行い、必要なものは補い、摂り過ぎているものは減らすようにしましょう。

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